曲作りのワークフローを一通り洗い出してみた話

曲作りのワークフローを一通り洗い出してみた話 コラム・雑記

曲を1曲仕上げること自体より、企画・ビジュアル・配信準備まで含めた「工程管理」のほうがよっぽど手間がかかる。——最近そのことを痛感しました。

僕は毛色の違う2つの作品ラインを同時にプロデュース・制作しながら、曲数にして20曲近くを通しでやってみて、良かったこと・失敗したことを整理してみます。

①方針を先に文章化してから曲に入る

いきなり曲から作り始めると、後で全部作り直しになります。今回同時に走らせていたのは、方向性がまったく違う2つのバンドでした。

Everyday Staticについて

メロコア/邦ロックの王道を感じさせるバンドサウンドをベースに、ポップパンク・メロコア・イージーコアなど幅広いジャンルに挑戦しているバンド。

テーマは「日常のふとした瞬間」——誰もが経験したことのあるような、ささやかな一瞬を切り取った歌詞が特徴です。

現在は全18曲が完成していて、シングルを2枚出したのち、まとめてアルバムとして発表する構成を組んでいます。

Everyday Static アー写
Everyday Static

FIRST LIGHTについて

ポップロックの爽快感と前向きさを軸にした、純粋なロックバンド。5人組(女性2人・男性3人)という編成です。

デビューEP「Day One」は「灯りの方へ踏み出す→夜に踊る→また灯りのもとへ帰ってくる」という1日の流れを3曲で描く構成。

その後もEDM色の強いシングルや、Lo-fi/Y2Kテイストのシングルなど、曲調の幅を広げながら制作を続けています。

FIRST LIGHT アー写
FIRST LIGHT

この2つを同時に動かしていたので、なんとなく曲から入ると歌詞のトーンが途中でブレる。

だから最初に軸になる一文だけを決めておいて、途中で気持ちが揺れても、その一文からはみ出さないようにする——これを徹底するようにしました。

②型の使い回しとの戦い、20曲近くになると地味にきつい

曲数が増えると、前にうまくいった言い回しやコード進行、曲の構成に頼りたくなります——が、それをやると全部同じ曲に聞こえてしまう。

なので毎回、過去に使った表現パターンを一覧化して照合する作業を挟んでいました。

18曲を超えたあたりから「もう出し尽くしたかも」と何度も感じましたが、テンポを途中で倍にしてみる、前半と後半で曲調をがらっと変えてみる、別ジャンルの特徴をミックスしてみる、といった曲の設計自体を工夫すると、意外と型はまだ残っている、というのが発見でした。

③ビジュアルの言語化が一番時間を食う

ジャケットのイメージを言葉で説明するのは想像以上に難しい。

AIで画像を生成して、そこに自分でロゴやタイトルを合成する、という工程を踏んでいるんですが、路線が違う2作品だと、片方はスナップ写真調、もう片方は手描きの版画風イラストと方向性も真逆で、色味・質感・構図を毎回ゼロから言語化し直す羽目になりました。

「もっと手作り感を」「デジタルっぽい滑らかさを消して」といった感覚的な指示ほど、言葉にするのに時間がかかります。

この進め方の良いところ・悪かったところ

  • 良かった:最初に軸になる一文を決めておくと、2つの作品が並行していても後工程で迷わない
  • 良かった:表現パターンの使い回しチェックは地味だが、作品全体の印象を大きく左右する
  • 悪かった:ビジュアルの言語化にかかる時間を最初は甘く見ていた

普段の機材レビューで感じる「実際に触ってみないと分からないことが多い」という感覚と、根っこは同じだなと思いました。