動物病院のBGMにJASRACの手続きは必要?|「病院」でも免除されない理由

店舗BGM

動物病院の待合室でBGMを流すとき、JASRACの手続きは必要なのか。「病院」と名前が付いているので免除されそうに見えますが、結論から書くと必要でした。

JASRAC東京支部に直接確認した回答と、その理由、トリミングサロンやペットホテルの扱いまで整理します。

この記事でわかること

  • 動物病院でJASRACの手続きが要るか
  • JASRACに聞いた3つの質問と回答
  • 使用料と、面積から引ける診察室・入院室
  • 動物が聴いていることを前提にした音の選び方

待合室向けのBGMを先に見たい方へ

待合室向けBGMパックを見る

先に結論

施設根拠法JASRACの手続き
人間の病院・診療所医療法(医療提供施設)不要
動物病院獣医療法(診療施設)必要(JASRAC東京支部に確認済み)
トリミングサロン動物病院に併設でも必要(同上)
ペットホテル同上必要(同上)
動物病院とJASRACの手続きの要否
同じ「病院」でも、根拠になる法律が違う

手続きを避けたいなら、管理団体に信託していない音源という選択肢があります

待合室用に作ったオリジナル曲で、JASRAC等への信託はしていないため、動物病院でも手続きは不要です。無料の2曲で、院内のスピーカーで鳴らして確かめられます。

待合室BGMの詳細を見る

動物病院は医療法の施設ではないので、JASRACの手続きが必要。

なぜ動物病院は免除されないのか

動物病院の受付と待合のイラスト

JASRACは、医療法でいう「医療提供施設」でBGMを流す場合、当分の間は使用料を免除しています。

免除の根拠になっているのは医療法で、第1条の2第2項が挙げているのは病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤を実施する薬局など。

すべて人に対する医療の施設です。

動物病院は獣医療法の施設

免除は根拠法で分かれる

医療法の施設:免除獣医療法の施設:手続き要

動物病院は、獣医療法に基づく「診療施設」として都道府県に届け出て開設します。名前に「病院」が入っていても、医療法の施設ではありません。

だから免除の対象外になります。

JASRACの線引きは一貫していて、「医療っぽいか」ではなく「どの法律に基づく施設か」だけを見ています。

調剤薬局が免除されるのも、薬局が医療っぽいからではなく、医療法の条文に「調剤を実施する薬局」と書いてあるからでした。

同じ理由で、整骨院や鍼灸院も手続きが必要という回答になっています。

「病院」という名前ではなく、根拠となる法律で線が引かれる。

JASRACに聞いた質問と回答

JASRACに問い合わせた(イメージ)

JASRAC東京支部にメールで問い合わせ、2026年9月30日に回答をいただきました。

質問1:獣医療法に基づく診療施設(動物病院)の待合スペースでBGMを流す場合、「病院」という名称ではあるが医療法に基づく施設ではないため免除の対象外となり、手続きが必要という理解でよいか

ご認識の通りです。

質問2:動物病院に併設されたトリミングサロン・ペットホテルも、質問1と同じ取扱い(手続きが必要)という理解でよいか

ご認識の通りです。

質問3:手続きが必要な場合、使用料は「店舗等の面積」で算定されるか。診察室など、BGMを流していない区画は面積から除外できるか

ご認識の通りです。BGMを流していない区画の面積は除外して算定します。

※ 回答は要旨です。担当者名は伏せています。

3問とも「ご認識の通り」。併設のトリミング・ホテルも同じ扱い。

いくらかかるのか

年間の使用料(イメージ)

店舗でBGMを流す場合の使用料は、店舗面積で区分されています。

店舗面積年額使用料(税別)
500㎡まで6,000円
1,000㎡まで10,000円
3,000㎡まで20,000円
6,000㎡まで30,000円

個人開業の動物病院なら、まず「500㎡まで」の区分です。年6,000円+税、月に直すと500円ちょっと。

惜しんで無許諾で流す金額ではありません。

診察室・入院室は面積から引ける

使用料の基準になる「店舗等の面積」からは、BGMを流していない区画を除外して算定されます。

動物病院は、待合以外に診察室・処置室・手術室・入院室と個室が多く、面積の大半がそちらということも珍しくありません。

待合とトリミングルームだけにスピーカーがあるなら、対象はその面積だけです。申請時に「どこでBGMを流しているか」を正確に伝えてください。

500㎡までなら年6,000円+税。診察室・入院室は面積から引ける。

手続きを避けたいなら

手続きを避ける選択肢(イメージ)

1. 有線放送・業務用BGMサービスを契約する

事業者がJASRACに払っているので、院側の手続きは不要です。選曲の手間もありません。

その分、月額(税込でBGM Pro・STORE MUSIC.jpの980円から、USEN/OTORAKUの4,488円まで。2026年10月9日時点の公開情報)がかかり続けます。

買い切り音源を選ぶときの見どころ(イメージ)

費用感は別記事で比較しています。

2. 著作権管理団体に信託していない音源を流す

制作者がJASRAC等に信託していない楽曲なら、そもそも手続きの対象になりません。買い切りなら費用は一度きりです。

「著作権フリー」と書いてあっても商用利用や店舗利用が別条件になっていることがあるので、配布元の利用条件は必ず読んでください。

やってはいけないのは、サブスクをそのまま流すこと

Spotify・Apple Music・Amazon Musicの個人プランを店内で流すのは規約違反です。

各社の規約を実際に読んで確認した結果はこちらの記事にまとめています。JASRACの手続きとは別に、サービス側の契約に違反する行為になります。

業務用サービスか、信託していない音源。サブスクは使わない。

動物が聴いている、という前提

動物病院の待合室で音を聴く犬と猫のイラスト

手続きの話とは別に、動物病院の待合は音の条件がかなり特殊です。

人間の待合室でも「体調の悪い人がいる」という前提で音を選びますが、動物病院には人間よりずっと聴覚の鋭い相手がいます。

犬や猫は高い音まで聞こえる

犬や猫は高い周波数まで聞こえます。人には気にならない金物系の高音、シンバルやハイハットの細かい音が、動物には刺さっている可能性がある。

待合室の音の条件

そこへ、キャリーの中で怖がっている犬の鳴き声や、診察室から漏れる音が重なります。

選ぶときの条件

選ぶなら、高音が強く出ていない、曲間の音量差が小さい、テンポが速すぎない音源。

待合室のBGMで避けたい条件そのものはクリニックの待合室について書いた記事と共通していますが、動物病院では高域の刺さりをより慎重に見たほうがいいと思います。

※ 動物の聴覚に関する部分は一般に知られている特性をもとにした僕の考えで、JASRACの回答や獣医学的な裏づけがあるものではありません。

高音が強くない、音量差が小さい曲を選ぶ。

まとめ:動物病院のBGMとJASRAC

この記事のまとめ

  • JASRACの免除は医療法に基づく施設が対象。動物病院は獣医療法の施設なので対象外
  • 併設のトリミングサロン・ペットホテルも同じく手続きが必要
  • 500㎡までなら年6,000円+税。個人開業ならまずこの区分
  • 診察室・入院室などBGMを流していない区画は、面積から除外できる
  • 避けたいなら有線・業務用BGMサービスか、管理団体に信託していない音源を使う
  • サブスクの個人プランを店内で流すのは規約違反

「病院」という言葉に引っ張られると免除されそうに見えますが、JASRACが見ているのは名前ではなく根拠法でした。

調剤薬局が免除で、調剤併設ドラッグストアが必要、動物病院も必要。基準さえ分かれば、迷う場面はほとんどなくなります。

待合室のために作ったBGM音源を配布しています

体調の優れない方がいる空間で流すことだけを考えて、オリジナル楽曲を作りました。

著作権管理団体(JASRAC等)への信託はしていないので、動物病院でも手続きは不要です。刺さる高音を抑え、全曲の音量を揃えてあります。

まずは無料の2曲を、実際に院内のスピーカーで鳴らしてみてください。

待合室BGMの詳細を見る 無料の試聴版(2曲)をBOOTHで受け取る

※ 本記事は、JASRAC東京支部から得た回答と、JASRACが公開している使用料規程をもとにしています。施設の構造や契約形態によって扱いが変わる可能性があるため、最終的な判断は所轄の支部にご確認ください。