泣かないことを強さと呼ぶ人がいる。でも自分はそう思わない——泣ける場所がないだけなんじゃないか。Everyday Staticの1曲目「See You on Wednesday」は、そんな視点から生まれた曲です。日常の小さな一コマを切り取る作詞方針や、この曲を作る過程で試行錯誤したことをまとめておきます。

①作詞で大事にしたこと
この曲の軸にしたのは、「大人になりきれない、変われない自分自身」を歌うことです。うまくやれてるふりが上手くなっていくことを、世の中は”成長”と呼ぶけれど、自分はまだそれに馴染めない——そういう内向きの視点を、電車やコンビニ、自転車といった誰もが知っている日常の風景に乗せて描いています。特別な出来事は何も起きません。ただ、変われない自分をそのまま肯定も否定もせず、そこに置いておく。それがこの曲でやりたかったことです。

②言葉選びで意識したこと
自分自身、英語が得意なタイプではないので、歌詞はまず日本語で書いて、意味が固まってから英語版に書き直す、という順番を必ず守っています。歌詞に出てくる言葉は、中学生でもわかるくらい平易なものだけを使うようにしています。英語詞も「決めゼリフ」っぽいカッコつけた言い回しは避けて、手紙みたいに会話的な言葉で書く。逆に、「衝動」「青春」「絆」「輝き」「証明」といった、いかにも歌詞っぽい単語は意識的に避けました。サビも大きく盛り上げるのではなく、肯定のトーンをあえて低いところに置いています。

③曲調をどう選んだか
歌詞のトーンは静かで内省的なんですが、曲調はあえてeasycore・メロディックハードコア・ポップパンク寄りの、テンポの速い疾走感のあるサウンドを選びました。「変われない自分」というナイーブなテーマを、逆に勢いのある音に乗せることで、悲壮感を出しすぎずに済む。歌詞と曲調のギャップをわざと作る、というのはこのバンドの曲づくりでよく使う手です。

この曲がEPの1曲目になった理由
派手なテーマでも大きなメッセージでもなく、「変われない自分をそのまま置いておく」というささやかな曲を、EP「The Sound’s Enough」の1曲目に選んだのは、このバンドの曲づくりの姿勢を最初に示しておきたかったからです。日常の小さな一コマだけで曲になる、という感覚を、最初の1曲でまず提示しておきたかった。

Everyday Static『The Sound’s Enough』(EP・3曲) 2026年9月18日 配信
収録:See You on Wednesday / That Song Again / Can’t See the Lights

