整骨院・鍼灸院・整体のBGM、JASRACの手続きは必要?|「医療」なのに免除されない理由

店舗BGM

僕は登録販売者として医薬品を扱う店舗で働いています。

これまでに調剤薬局と調剤併設ドラッグストアのBGMについてJASRACに確認してきましたが、書いていて引っかかったのが整骨院・接骨院・鍼灸院です。

保険が使えて、白衣の先生がいて、待合室がある。どう見ても「医療」なのに、医療法の条文を読むと施術所は出てきません。

免除されるのか、されないのか。公開資料では答えが出なかったので、JASRACに直接聞きました。

この記事でわかること

  • 整骨院・鍼灸院・整体でJASRACの手続きが要るか
  • JASRACに聞いた4つの質問と回答
  • 手続きが必要な場合の使用料と、面積から引ける区画
  • 手続きを避ける3つの選択肢

待合室向けのBGMを先に見たい方へ

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先に結論

施設根拠法JASRACの手続き
クリニック・診療所の待合室医療法不要(医療提供施設)
調剤薬局の待合スペース医療法不要(医療提供施設・JASRAC東京支部に確認済み)
整骨院・接骨院柔道整復師法(施術所)必要(JASRAC東京支部に確認済み)
鍼灸院・あん摩マッサージ指圧あはき法(施術所)必要(同上)
整体・カイロ・リラクゼーション国家資格なし(施術所にも非該当)必要(同上)
デイサービス・有料老人ホーム・グループホーム介護保険法不要(同上)

結論から書くと、整骨院・接骨院も、鍼灸院・あん摩マッサージ指圧も、JASRACの手続きが必要でした。医療法の「医療提供施設」に入らないためです。

国家資格を前提としない整体・カイロ・リラクゼーションサロンも同じく必要です。

一方で意外だったのが介護施設で、デイサービスも有料老人ホームもグループホームも免除でした。民間企業が運営していても関係ありません。

同じ「医療・介護っぽい場所」でも、根拠になる法律で扱いがきれいに分かれます。

施術所とJASRACの手続きの要否
根拠になる法律で、扱いがきれいに分かれる

手続きを避けたいなら、管理団体に信託していない音源という選択肢があります

待合室用に作ったオリジナル曲で、JASRAC等への信託はしていないため、整骨院・接骨院・鍼灸院でも手続きは不要です。

無料の2曲で、院内のスピーカーで鳴らして確かめられます。

整骨院・整体向けには院内BGMパック(40曲・買い切り)を用意しました。待合室には、薬局・クリニック向けのパックがそのまま使えます。

待合室BGMの詳細を見る

整骨院・接骨院・鍼灸院・整体は、JASRACの手続きが必要。

なぜ迷うのか

整骨院の待合室のイラスト

JASRACは、医療法でいう「医療提供施設」でBGMを流す場合、当分の間は使用料を免除しています。

医療法第1条の2第2項が挙げている医療提供施設は、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤を実施する薬局などです。

ここに「施術所」という言葉は出てきません。

施術所は医療法の施設ではない

免除は根拠法で分かれる

医療法の施設:免除柔道整復師法・あはき法:手続き要

整骨院・接骨院は柔道整復師法、鍼灸院やあん摩マッサージ指圧の施術所は「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」(あはき法)に基づく「施術所」です。

医療法とは別の法律で、届出先も保健所ではありますが、法律上は病院・診療所と同じ枠には入っていない。

それでも迷うのは、現場の見え方が医療機関そのものだからです。

健康保険が使える(療養費の受領委任という仕組みで、医療機関の保険診療とは別物ですが、患者側からは同じに見えます)。

現場の見え方は医療機関

先生は白衣で、受付があって、待合室に椅子が並んでいる。院長からすれば「うちは医療だから免除でしょ」と思うのが自然で、実際そう思っている方は多いはずです。

免除の基準は「どの法律の施設か」

ただ、JASRACの免除は「医療っぽいか」ではなく「医療法に基づく施設か」で線を引いています。

調剤薬局が免除されるのも、薬局が医療っぽいからではなく、医療法の条文に「調剤を実施する薬局」と書いてあるからでした。

その基準を施術所に当てはめると、どうなるのか。ここは公開資料に書かれていないので、聞くしかありませんでした。

見た目が医療でも、医療法に基づく施設でなければ免除されない。

JASRACに聞いた質問と回答

JASRACへメールで問い合わせるイラスト

JASRAC東京支部にメールで問い合わせ、2026年9月30日に回答をいただきました。質問は8つ出しましたが、ここでは施術所に関係する4つを載せます。

質問1:柔道整復師法に基づく施術所(整骨院・接骨院)の待合スペースでBGMを流す場合、医療法の「医療提供施設」には含まれないため免除の対象外となり、通常どおり手続きが必要という理解でよいか

ご認識の通りです。

質問2:あはき法に基づく施術所(鍼灸院・あん摩マッサージ指圧)も、質問1と同じ取扱いという理解でよいか

ご認識の通りです。

質問3:国家資格に基づかない整体院・カイロプラクティック・リラクゼーションサロン(もみほぐし等)は、施術所にも該当しないため、当然に手続きが必要という理解でよいか

ご認識の通りです。

質問4:手続きが必要な場合、使用料は一般の店舗と同じく「店舗等の面積」で算定されるか。施術室など、BGMを流していない区画は面積から除外できるか

ご認識の通りです。BGMを流していない区画の面積は除外して算定します。

※ 回答は要旨です。担当者名は伏せています。

回答から分かること

4問とも「ご認識の通りです」でした。保険が使えることと、医療法の医療提供施設であることは別、という線引きがそのまま維持されています。

この基準は調剤薬局のときと完全に一貫しています。薬局が免除されるのは医療っぽいからではなく、医療法の条文に「調剤を実施する薬局」と書いてあるから。

調剤併設ドラッグストアの場合

逆に調剤併設のドラッグストアは、調剤室があっても物販店として手続きが必要でした。施術所も同じで、看板でも実態でもなく、どの法律に基づく施設かだけを見ています。

あわせて福祉施設についても聞いたのですが、こちらは「介護保険法に基づく施設のため、BGMの利用につきましては、使用料は免除となります」という回答でした。

デイサービス、有料老人ホーム、グループホームのいずれも免除です。民間企業が運営していても変わりません。

医療法でなくても、根拠法があれば免除になる例です。

4問とも「ご認識の通り」。基準は調剤薬局のときと同じ。

手続きが必要な場合、いくらかかるのか

年間の使用料(イメージ)

店舗でBGMを流す場合の使用料は、店舗面積で区分されています。

店舗面積年額使用料(税別)
500㎡まで6,000円
1,000㎡まで10,000円
3,000㎡まで20,000円
6,000㎡まで30,000円
9,000㎡まで40,000円
9,000㎡を超える場合50,000円

個人開業の整骨院や鍼灸院は、待合と施術スペースを合わせても500㎡に届くことはまずないので、年6,000円+税です。月に直せば500円ちょっと。

この金額を惜しんで無許諾で流すのは割に合いません。

BGMを流していない区画は、面積から引ける

今回いちばん実務的だった回答がこれです。使用料の基準になる「店舗等の面積」から、BGMを流していない区画(施術室・診察室・居室など)は除外して算定されます。

施術所は、面積の大半を個室の施術ベッドが占めていることが珍しくありません。待合だけにスピーカーがあるなら、対象はその待合の面積だけです。

もともと500㎡区分に収まる規模なら金額は変わりませんが、区分の境目にいる中規模院では効いてきます。

申請時に「どこでBGMを流しているか」を正確に伝えてください。

500㎡までなら年6,000円+税。BGMを流さない施術室は面積から引ける。

手続きが必要と分かったら、選択肢は3つ

選択肢は3つ(イメージ)

1. JASRACに申請して、市販の曲を流す

年6,000円+税(500㎡まで)で、JASRAC管理曲が何曲でも使えます。BGMのみの利用ならオンラインで申請できます。

ただし音源は自分で用意する必要があり、音楽サブスクの個人プランを店で流すのは規約違反です。

Spotify・Apple Music・Amazon Musicの規約を読んだ結果は別の記事に書いています。CDや配信の購入が前提です。

2. 有線放送・業務用BGMサービスを契約する

有線放送(イメージ)

事業者がJASRACに払っているので、院側の手続きは不要です。選曲の手間もありません。

その分、月額(税込でBGM Pro・STORE MUSIC.jpの980円から、USEN/OTORAKUの4,488円まで。2026年10月9日時点の公開情報)がかかり続けます。

費用感は別記事で比較しています。

3. 著作権管理団体に信託していない音源を流す

買い切り音源を選ぶときの見どころ(イメージ)

いわゆる著作権フリーのBGMです。制作者がJASRAC等に信託していない楽曲なら、そもそも手続きの対象になりません。

買い切りなら費用は一度きりで済みます。

「著作権フリー」と書いてあっても商用利用や店舗利用が別条件になっていることがあるので、配布元の利用条件は必ず読んでください。

「保険が使えるから医療機関」ではない

整骨院・接骨院・鍼灸院で健康保険が使えるのは、療養費の受領委任という仕組みによるもので、医療法上の医療機関として保険診療をしているわけではありません。BGMの免除に限らず、「医療機関向け」の制度や優遇が施術所には当てはまらない場面はほかにもあります。BGMの使用料免除も、その一つでした。

保険が使えることと、JASRACの免除は別の話。

待合室の音、という点では薬局と同じ

木の長椅子と観葉植物のある待合室

手続きの話とは別に、施術所の待合室は、僕が働いている医薬品の店の待合とよく似ています。

腰や膝を痛めて来ている人、頭痛や不眠で鍼に通っている人が、施術の順番を待っている。体調が万全な人はまずいない空間です。

落ち着いたテンポと明るさ(イメージ)

そういう場所で、テレビのバラエティがついていたり、アップテンポなカフェミュージックが流れていたりすると、正直きつい。

音量が大きい、高い音が刺さる、曲ごとの音量差が激しい。待合室のBGMで避けたい条件は、クリニックの待合室について書いた記事と同じです。

施術所だから特別、ということはなく、体調の悪い人が待つ場所の音として考えれば答えは同じところに落ちます。

体調のすぐれない方が待つ場所として、音の条件は薬局と同じ。

まとめ:整骨院・鍼灸院・整体のBGMとJASRAC

この記事のまとめ

  • JASRACのBGM使用料免除は「医療っぽいか」ではなく「医療法に基づく医療提供施設か」で決まる
  • 整骨院・接骨院(柔道整復師法)、鍼灸院・あん摩マッサージ指圧(あはき法)は「施術所」で、医療法の医療提供施設には入っていない
  • JASRAC東京支部に確認した結果、整骨院・接骨院・鍼灸院・あん摩マッサージ指圧、そして整体・カイロ・リラクゼーションは、いずれも手続きが必要
  • 一方、デイサービス・有料老人ホーム・グループホームは介護保険法に基づく施設として免除
  • 使用料の面積からは、BGMを流していない区画(施術室など)を除外できる
  • 手続きが必要な場合、500㎡までなら年6,000円+税。個人開業ならまずこの区分
  • 手続きを避けたいなら、有線・業務用BGMサービスか、管理団体に信託していない音源を使う

条文を何度読んでも「施術所」は出てこないのに、現場の見た目は医療機関そのもの。

この落差が気持ち悪くて聞いてみたら、返ってきたのは「ご認識の通りです」の一行でした。

迷っている時間のほうがもったいなかったというのは、薬局のときとまったく同じ感想です。

待合室のために作ったBGM音源を配布しています

体調の優れない方がいる空間で流すことだけを考えて、オリジナル楽曲を作りました。

著作権管理団体(JASRAC等)への信託はしていないので、整骨院・接骨院・鍼灸院でも手続きは不要です。

全曲の音量を揃え、天井スピーカーのモノラル再生でも痩せないように処理してあります。

まずは無料の2曲を、実際に院のスピーカーで鳴らしてみてください。

整骨院・整体向けには院内BGMパック(40曲・買い切り)を用意しました。待合室には、薬局・クリニック向けのパックがそのまま使えます。

待合室BGMの詳細を見る 無料の試聴版(2曲)をBOOTHで受け取る

※ 本記事は、JASRAC東京支部から得た回答と、JASRACが公開している使用料規程をもとにしています。施設の構造や契約形態によって扱いが変わる可能性があるため、最終的な判断は所轄の支部にご確認ください。