ネイルサロンで個人向けのSpotifyやApple Musicを流すのは、規約上できません。
店で音楽を流すなら、権利処理がされた業務用サービスか、店舗での利用が許諾された音源を使います。
そのうえでネイルの場合は、施術が1〜2時間続き、お客様と向かい合って話す時間が長いので、音の作りも選ぶ基準になります。

この記事でわかること
- ネイルサロンでSpotifyを流せない理由と3つの選択肢
- 著作権の手続きが要るケースと要らないケース
- 施術中に向く音の4つの条件
- 有線・業務用サブスク・買い切り音源の費用
ネイルサロン向けの店内BGMを先に見たい方へ
ネイルサロン向けBGMパックを見るネイルサロンでSpotifyは流せない。店舗用の音源を選ぶ
Spotify、Apple Music、Amazon Musicの個人向けプランは、どれも利用規約で「個人的・非商業的な利用」に限っています。お客様がいる店内で流すのは、この範囲から外れます。3社の規約の該当箇所はSpotify・Apple Music・Amazon Musicを店で流すのは規約違反?3社の規約を確認で原文を引いて確認しました。

JASRACも施設BGMの案内で、聴き放題サービスは個人利用に限られる場合があるので事前に規約を確認するよう書いています。
店で流すための3つの選択肢
選択肢は次の3つです。
- 有線放送・業務用BGMサービスと契約する(権利処理は事業者側)
- 市販CDを流し、JASRACにBGMの利用手続きをする
- 店舗での利用が許諾された著作権フリー音源を使う
有線・業務用サービス
- 費用感
- 月額制。税込でUSEN/OTORAKU 月4,488円、モンスター・チャンネル(2年契約)月2,068円、BGM Pro(2年契約)・STORE MUSIC.jp 月980円
- 手続き
- 店側は不要(事業者が権利処理)
- 向く店
- 流行曲や季節で雰囲気を変えたい店
市販CD+JASRAC
- 費用感
- 500㎡まで年6,000円+税。CD代は別
- 手続き
- JASRACにBGMの利用手続き。コピーすると複製の許諾も
- 向く店
- 手持ちのCDから選んで流したい店
店舗利用可の買い切り音源
- 費用感
- 購入時のみ。月額なし
- 手続き
- JASRAC非信託の音源なら不要(利用規約に従う)
- 向く店
- 同じトーンを毎日流し続けたい店
個人向けの聴き放題は規約上NG。店舗用の音源を選ぶ。
ネイルサロンのBGMで著作権の手続きが要るケース

著作権法第22条は、著作物を「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」演奏する権利を著作者に認めています。
CDや配信音源を再生することも、この「演奏」に含まれます(著作権法第2条第7項)。
営利目的の店で流す以上、第38条第1項の「営利を目的とせず、料金を取らない」場合の例外にも当たりません。
流し方ごとの手続き
ネイルサロンでの扱いを整理すると、こうなります。
| 流し方 | 店側のJASRAC手続き |
|---|---|
| 有線放送・JASRACと契約した業務用BGMサービス | 不要(事業者が使用料を支払う) |
| 市販CDをそのまま再生 | 必要(BGMの利用手続き) |
| 配信音源やCDをスマホ・CD-Rにコピーして再生 | 必要。加えて複製の許諾が別に必要 |
| 個人向け聴き放題サービス | 規約上、店では使えない |
| JASRACに信託されていないオリジナル音源 | JASRACへの手続き・使用料なし(音源の利用規約に従う) |
市販CDの使用料
市販CDを使う場合の使用料は、JASRACの使用料規程(第12節 BGM)で、店舗面積500㎡までなら年額6,000円+税です。
個人サロンや自宅サロンの広さなら、ほぼこの区分に入ります。ただし流したい曲のCD代は別にかかり、スマホに取り込んで流すと複製の許諾も必要になります。
「医療っぽい施設なら免除」はネイルには当てはまりません
JASRACのBGM使用料が免除されるのは、医療法上の医療提供施設や、介護保険法に基づく施設などです。
僕がJASRAC東京支部に問い合わせたときも、整骨院・鍼灸院・整体・リラクゼーションサロンは「手続きが必要」という回答でした。
ネイルサロンは物販・サービス業の店舗として、通常どおり手続きが必要な側です。
問い合わせの内容は整骨院・鍼灸院・整体のBGM、JASRACの手続きは必要?にまとめています。
有線・業務用サービスと非信託の音源は手続き不要。市販CDは手続きが要る。
ネイルサロンのBGMに求める音の条件
美容室と似ているようで、ネイルは条件がかなり違います。
美容室との違い
- 施術時間が長い:メニューによっては1〜2時間、同じ席に座り続ける。プレイリストが短いと、同じ曲が2周目に入ったことにお客様が気づく
- 距離が近い:テーブルを挟んで向かい合い、小さめの声で話し続ける。歌が入っていると、会話と同じ帯域でぶつかる
- 手元が細かい:筆やファイルを使う作業中に、曲のサビで急に音が大きくなると気が散る
- 音を止めにくい:施術中は手がふさがっていて、曲ごとに音量を直すことができない
選ぶ順番
ネイルサロンの音の4条件
なので、ネイルサロン向けの音は「おしゃれかどうか」より先に、歌がないこと、曲の途中で音量が跳ねないこと、曲が変わっても音量がそろっていること、長く流しても一周しにくいこと。
この4つで選ぶのが現実的です。
ネイルサロン向けの音源を作ったときに残した基準
候補曲は一曲ずつ聴いて選んだ
からすの音楽スタジオで作ったネイルサロン向けの音源は、候補曲を僕が実際に一曲ずつ聴いて、施術中の会話と手元の作業の邪魔にならないものだけを残しました。
歌の入った曲は1曲も入れず、途中で急に盛り上がる展開の曲も外しています。
仕上げの段階では、聴いた印象だけでなく数値でも確認しました。
| 確認した項目 | 結果 | 何のためか |
|---|---|---|
| 曲ごとの音量(ラウドネス) | 全曲 -16 LUFS | 曲が変わっても音量を触らずに済む |
| 曲の中の音量差(LRA) | 最大2.7 LU | サビで急に大きくならない |
| モノラルにしたときの音量低下 | 最大0.1dB | 天井スピーカー1本でも痩せない |
| 収録の長さ | 40曲・約118分 | 2時間近い施術でも一周しにくい |
※ LUFS・LRAは音量の測り方の単位です。数値は書き出した全40曲を測定した実測値です。

歌がない・音量が跳ねない・曲間でそろう・一周しにくいの4つ。
有線・業務用サブスク・買い切り音源の費用

手続きが要るとわかったら、次は費用です。有線放送や業務用BGMサービスは月額制で、選曲や権利処理をまとめて任せられます。
市販CD+JASRACは使用料が年6,000円+税(500㎡まで)と安い一方、音源代とコピーの許諾が別にかかります。
買い切りの著作権フリー音源は、購入後の月額がありません。
サービスごとの公開料金と3年間の総額は店舗BGMのコストを見直す|有線・サブスク・買い切り音源を比較したで比べています。
向き・不向き
季節ごとに雰囲気を変えたい店は有線、同じトーンを毎日流し続けたい店は買い切り、というのが比べてみた結論でした。
3年間の総額
7,800円のパックは、USENの約1.7か月分。
ネイルサロン向けBGMパック
ネイルサロンで一日流し続けるために作った、買い切りのBGMです
全曲インスト、40曲・約118分。全曲 -16 LUFS にそろえ、曲中の音量差も最大2.7 LUに抑えています。
JASRACなどの管理団体に信託していないオリジナル楽曲なので、店内での再生に使用料はかかりません。
無料の試聴音源を配布しています。施術席のスピーカーで、会話しながら鳴らして確かめてください。
ネイルサロン向けBGMパックを見る
まず無料版を施術席で流し、会話しながら確かめる。
まとめ:ネイルサロンのBGMは著作権と施術中の音で選ぶ
この記事のまとめ
- 個人向けのSpotify・Apple Music・Amazon Musicは、規約上ネイルサロンでは流せない
- 市販CDを流すならJASRACの手続きが必要。500㎡までなら年6,000円+税
- ネイルサロンは医療提供施設のような免除の対象ではない
- 音は「歌がない」「途中で音量が跳ねない」「曲間で音量がそろう」「長く流しても一周しにくい」で選ぶ
出典:著作権法(第2条第7項・第22条・第38条第1項/e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000048)、JASRAC「各種施設でのBGM」https://www.jasrac.or.jp/users/facilities/bgm.html、JASRAC使用料規程 第12節 BGM https://www.jasrac.or.jp/aboutus/public/pdf/tariff12.pdf、JASRAC東京支部への問い合わせ回答(2026年9月30日)。2026年10月9日時点で確認。料金・規約は変わることがあるため、契約前に最新の案内をご確認ください。
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