ES-8のパッチに縛られない「もう1台」|HX Effectsを独立プリセットで使う理由

ES-8のパッチに縛られない「もう1台」|からすの音楽スタジオ 機材レビュー

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うちのボードはBOSS ES-8をマスターにして、パッチ切り替えで足元をまとめて制御しています。ただ、それとは別に「ES-8が今どのパッチにいても、ワンタッチで呼び出せる」独立したHX Effectsのプリセットを1つ用意しています。パッチの構成に関係なく常時スタンバイさせておくための専用プリセットです。今回はその中身と、フットスイッチの割り当てで工夫している点を紹介します。

なぜES-8とは別枠のプリセットを用意したか

ES-8側はアンプ・エフェクト切替のパッチ運用がメインで、曲やセクションごとにガラッと構成が変わります。でも「今この瞬間だけかけたい」効果って、パッチの構成とは関係なく欲しくなることが多いんです。ピッチをずらしたい、回転スピーカー的な揺れを一瞬足したい、逆再生っぽい浮遊感を出したい……。そのたびにパッチを切り替えていたら本末転倒なので、ES-8が今どのパッチにいても、ワンタッチで呼び出せる独立プリセットをHX Effects側に1つ作りました。ES-8のパッチ運用とは完全に切り離された「もう1枚のレイヤー」として常時待機させておくイメージです。

プリセットの中身:シグナルチェーン

Input→Main L/Rまで、7つのブロックを直列でつないでいます。テンポ同期系のパラメータはHX Effects単体のBPMではなく、ES-8側のクロックで制御しています。

順番 ブロック 種類 主な設定
1 Poly Capo Pitch Interval -1 / Tracking X Fast / Auto EQ 7.0 / Mix 100%
2 Rotary Drum Modulation Speed Fast / Depth 10% / Tone 70% / Drive 10% / Mix 100%
3 FX Loop 1/2 FX Loop Send/Return 0.0dB / Mix 100% / Trails On
4 Digital Delay Time 79ms / Feedback 0% / Bass・Treble 50% / Mix 60%
5 Bleat Chop Trem Modulation Speed 1.0Hz / Wave Shape Square / Step1〜4=10
6 Reverse Delay Note Sync 1/4 / Depth 100% / Mix 100%
7 Simple Delay Delay Note Sync 1/8 Dotted / Feedback 50% / Mix 40% / Scale 75%

① Poly Capo(Pitch)|Interval -1

HX Edit Poly Capoのパラメーター画面
Poly Capo:Interval -1 / Tracking X Fast / Auto EQ 7.0 / Mix 100%

楽曲が半音下げチューニングだった場合に、ギター本体のチューニングを変えずにすぐ対応できるように用意しているブロックです。Auto EQを7.0にしているのは、色々な値を試した結果、ピッチを下げた時の音の変化がいちばん少なく感じられたのがこの数値だったからです。Trackingは正直X Fastにしないと遅延が気になるレベルになりますが、この設定だとピッチの不安定さは感じないので、この組み合わせに落ち着いています。

② Rotary Drum(Modulation)|回転スピーカー系

HX Edit Rotary Drumのパラメーター画面
Rotary Drum:Speed Fast / Depth 10% / Tone 70% / Drive 10% / Mix 100%

あえてアンプの前段にロータリー系を挿すことで、独特なサウンドを狙っているブロックです。この位置に置いた時にしか出ない音になっていて、Strymon MobiusのKero Sound(ロータリー系モデル)よりもエグい質感が出ます。

③ FX Loop 1/2|ここでアンプ前とアンプ後が切り替わる

HX Edit FX Loop 1/2のパラメーター画面
FX Loop 1/2:Send/Return 0.0dB / Mix 100% / Trails On

ここでES-8のループに戻る形になっています。つまりこのFX Loopより前(Poly Capo・Rotary Drum)がアンプ前段、後ろ(Digital以降)がアンプ後段のMod・空間系という役割分担です。1つのプリセットの中に「アンプ前用」と「アンプ後用」のエフェクトが混在しているのは、この真ん中のFX LoopでES-8側のアンプを挟み込んでいるからです。

④ Digital(Delay)|「Khaos」の実体

HX Edit Digitalディレイのパラメーター画面
Digital:Time 79ms / Feedback 0% / Mix 60%

踏んでいる間だけ音がグリッチのようにリピートして、壊れたようなサウンドになるエフェクトです。Momentaryで踏んでいる時だけ発動するので、フレーズの一瞬だけ音を破綻させるような使い方をしています。

HX Edit Digital(Khaos)のBypass/Controller Assign画面、TypeがMomentary
フットスイッチ4の割り当て:Type = Momentary、カスタム表示名「khaos」

⑤ Bleat Chop Trem(Modulation)|「Slicer」の実体

HX Edit Bleat Chop Tremのパラメーター画面
Bleat Chop Trem:Speed 1.0Hz / Wave Shape Square / Step1〜4=10

矩形波(Square)のトレモロで、音量をオン・オフ的に刻むタイプのモジュレーションです。Step1〜4をすべて10(最大値)に揃えているので、刻みの強弱にムラを作らず、はっきりと音を切るような効き方になります。こちらもMomentaryで、踏んでいる間だけスライスするように使います。

HX Edit Bleat Chop Trem(Slicer)のBypass/Controller Assign画面、TypeがMomentary
フットスイッチ5の割り当て:Type = Momentary、カスタム表示名「Slicer」

⑥ Reverse(Delay)

HX Edit Reverseディレイのパラメーター画面
Reverse:Note Sync 1/4 / Depth 100% / Mix 100%

よくある逆再生ディレイのサウンドです。RADのような雰囲気を作れるので、浮遊感を出したい場面で使っています。

⑦ Simple Delay

HX Edit Simple Delayのパラメーター画面
Simple Delay:Note Sync 1/8 Dotted / Feedback 50% / Mix 40% / Scale 75%

ソロ以外の場面で、突然深めのディレイをかけたい時に使うブロックです。フィードバック50%・Mix 40%としっかりめの設定にしていて、ここぞという瞬間にLatchingで踏んで空間を広げる用途です。

フットスイッチ配置:ラッチとモーメンタリを使い分ける

6つのフットスイッチに主要ブロックを割り当てていますが、全部を同じ動きにはせず、効果の性質に応じてラッチ(踏むとON/OFFが保持)とモーメンタリ(踏んでいる間だけ効く)を使い分けています。

スイッチ 表示名 実体ブロック 動作
1(上段左) Poly Capo Poly Capo Latching
2(上段中) Rotary Drum Rotary Drum Latching
3(上段右) Simple Delay Simple Delay Latching
4(下段左) Khaos Digital(ディレイ) Momentary
5(下段中) Slicer Bleat Chop Trem(トレモロ系) Momentary
6(下段右) Reverse Reverse Latching

上段3つと下段右のReverseは、かけっぱなしにしたい・任意のタイミングでON/OFFを保持したい効果なのでLatchingです。一方、下段左の2つ(Khaos・Slicer)はあえてMomentaryにしています。踏んでいる間だけディレイやトレモロが暴れるように効くので、フレーズの一瞬だけグリッチっぽいノイズや刻みを足す、という使い方専用のスイッチです。踏み続ける長さでニュアンスが変わるので、感覚的にコントロールできるのが気に入っています。

ちなみに「Khaos」「Slicer」という表示名は、実体のブロック名(Digital/Bleat Chop Trem)とは別にHX Edit側で個別に設定できるカスタム表示名です。本体の小さい液晶でパッと見て「これは何用のスイッチか」が分かるように、効果の役割に合わせて名前を付け直しています。

使ってみた感想

ES-8のパッチとは無関係に呼び出せる時点で、演奏中の判断がすごく楽になりました。「このパッチにはこのエフェクトが無いから使えない」みたいな制約がなくなって、思いついた瞬間に踏めるのが単純に気持ちいいです。特にMomentaryの2つ(Khaos・Slicer)は、踏み続ける長さでニュアンスが変わるので、同じスイッチでも毎回違う壊れ方をさせられるのが面白いポイントです。

関連:ES-8を中心にしたMIDI連携の全体像

このHX Effectsが組み込まれているES-8側のパッチ運用はこちらにまとめています。

ES-8のMIDI連携ガイドを読む →


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